鶏口よりも牛後

大人の読書感想文の流れから、今回の記事は、親の期待と子の現実の話。

今年はムスコの高校受験の年。

中途半端に人口がある市だけど選択肢は案外に少なく。彼の志望校は一つ。

選択理由の一つは、近いから。
平地 to 平地で行ける公立の進学校はここしかない。ただでさえ忙しい高校生活、しかもバレー部に入りたいとのことで、自転車でラクに通えることは優先事項が高い。

そして最大の選択理由は、地域一番校であること。
先の進学を考えると、レベルの高い同級生に囲まれて切磋琢磨できる環境が望ましい。

本来勉強なんて本人がその気になればどんな環境でもできるはずだけど、人は流されやすい。自分のレベルで満足していたら落ちていく。中の下、いや下の下であっても、レベルの高いところにいて周りが頑張る背中を見るほうがいい。

「鶏口となるも牛後となるなかれ」、大きな集団の中で尻にいて使われるよりも、小さな集団であっても長となるほうがよいということわざだが、我が家の方針は正反対。

「鶏口よりも牛後」。
大きな集団に属し、その集団が大きい理由と流儀をそこで学べ。

小さな集団やレベルの低い集団では一流の流儀は身につきにくい。ゆえに、中の下、いや下の下であってもレベルの高いところにいたほうがいい、というのが夫婦そろっての方針。

ちなみにパパは、県一番の進学校に入るも、成績は学年で下から二番目が定位置という経歴あり(笑)。それでも、レベルの高い同級生といたことは人生の糧になったと申している。

ゆえに、早々から本人も親もその高校一本に絞っていた。しかし現実は、三年生になってから、ちと成績が厳しくなってきた。彼の学年全体が優秀だとのうわさもあるが、それでも今の成績だと安心できない。

よって、夏期講習へ。
親は渋っていたが、本人の希望により。

そこで彼がわかったのは、周りは勉強しているということ(笑)。自分がいかに今まで勉強時間が足りなかったか、勉強に対する気迫が足りなかったかを肌で感じたとのこと。

4月の家庭訪問で担任に「塾に行かすつもりがない」とわたしが言ったところ「それもいいけど、夏期講習に行くと周りのやる気が見れて奮闘しますよ」と言われた。その意味が今わかった。

とにかく一点でもあげるんだという気迫に満ちた環境に初めて身を置いた彼は、夜の自習室にもこまめに通い、昼の 2 時から夜の 10 時まで勉強するという生活を送ってます。(ただ、塾のない日にダラダラしているのは気になるところですが。苦笑)。

その甲斐あってか、先日の模試ではよい点数だった。点数配分を考慮した見直しにより取りこぼしが減ったらしい。そして、今回の模試では一点二点で順位が大きくかわることも衝撃を受けたらしい。点数付きの順位が張り出されて初めて身に染みたそうな(はい、今頃です。笑って笑って)。

というのも、昨今の学校では順位をつけてくれないのよ。上位 10 % はAランクというあいまいな表現しかしてくれないから、はっきりとした順位と点差がわからない。

競争はよくないという理由や配慮かもしれないが、現実世界は 1 点に泣くのだから、そこはシビアに上位者だけでも点数付きで貼り出してくれと思う。体力テストの上位者は数値入りで貼りだしてるじゃん、それとどこが違うのさ。

……若干グチが入りましたが(笑)、彼は夏期講習のシビアな環境が気に入ったとのことで、秋以降も塾を継続希望。入塾代が高いのでしぶる親。しかし、自分の小遣いの貯蓄を使ってもいいので行きたいとのたまう。

志望校に行けば、もう塾に行く暇もないほど課題が出されるとも聞いている。その志望校に行きさえすれば、学校でそれだけのことをしてくれて、大学もそれなりのところにいけると(もちろん本人の頑張りが必須)。その高校に入ることが人生の大きな分岐点になることは間違いない。

よって、学費の投資のタイミングとして、高校に入るための今が大事なのでは……と、夫婦二人で思い直しました。

あーなんだか塾の策略にまんまとはまった気もしますが(笑)。しょうがない。腹をくくろう。

親もそれなりの努力と投資をしてますよ。
君も期待に沿うべく努力をしてくださいね。親の期待ではなく自分自身の期待にですよ。



--- おまけ話 ---

ちなみに、将来の話。
本人は理系までは決めているけど、将来つきたい職業は未定。そんな彼がポロリと言った。

「先生いいかも」

おーーーー。

そうですか、そうきましたか。まぁこれが確定ではないだろうが、瞬間的にしろやってみたいと思ったことが彼にしては大きな一歩。

ちなみに先生というのは塾の先生のこと。塾の先生が面白かったのと、車をたくさん持っているから儲かる職業と見たらしい(笑)。

動機が不純でもいい。不純なほうがいい。
カッコいい理想は幻想に変わりやすいから。

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(写真はフリー画像よりお借りしました)

by e-sakamichi | 2018-08-16 02:00 | 子ども | Comments(0)

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