知らないがゆえに…
2018年 05月 25日
このところ、子どもの認知発達について勉強しています。例の出来事に対する反応の話の流れで。
難しくて行き詰ること度々。行き詰って反応の話は熟成待ちになってもいますが(苦笑)それでも理解したいと思えるほど興味深い分野です。
まず認知とは、ものごとのとらえ方のこと。
ものごとのとらえ方は、年齢に応じて発展していく。その年齢に応じて発展していく様を知っていると、子どもの言動を観察するのがとても楽しくなります。
ムスコが小学 3 年生のときに、スピードオーバーに敏感になりました。それはこの年頃の道徳性が「法と秩序指向」で、社会性の秩序を維持したり、自分の義務を遂行することを良いことだと考える時期だから。
ゆえに社会性の秩序を乱すスピードオーバーという行為に厳しくなった(笑)。男子アルアル捨て台詞「ごめんで済むなら警察いらん」も、警察つまり法と秩序を第一とするこの年ならでは言葉かもしれません(仮)。←これはどこかで検証してみたい。
話戻って道徳性の話。
高学年になってくると、「社会契約的な法律指向」といって、正しい行為とは社会全体によって吟味され一致された基準によって定められると考えるようになります。そして、法律は絶対的なものでなくて合理的な考察によって変更できる、と考えるようになります。
よって高学年では少々のスピードオーバーでも車の流れにのってる分には許容範囲とみなすようになるかもしれません(例として適しているかどうかはわかりませんが、笑)。
これが中学生に入ったくらいから「普遍的な論理的原理の指向」といって、正しさは論理的包括性・普遍性・一般性にもとづいて、自分自身で選択した倫理原則に従う良心によって定められるとな。
つまり、自らが定義した道徳的価値によって判断するようになるとのこと。そうなると、少々のスピードオーバーでも許容するのか、流れに乗らずとも自分は制限速度を順守するとなるのか、それぞれの判断になるとなりそうです。
というように、その年ごろのものごとのとらえ方を知っていると、観察するのが楽しくなるし、問題とみなされる行動も一過性のものかどうかという判断ができ、一過性のものならば見守るという姿勢がもてるので、無駄に悩むことが減るとも思うのでした。
この道徳性の話はまだ理解しやすかったのですがね……他はちょっと難しくて難儀してます。
例えば、数という概念。
ものの数を数える、そこに至るまでにどれだけの長い道のりがあることか!
詳細は省略しますが(というか説明できるほど消化できていない)、もうね、その道のりの複雑さを知るにつれて、子どもが数を数えることができる、計算ができるというだけでスタンディングオベーション、拍手喝さいをしたくなりました。
そして、いくつかの謎が解けました。
一つ目の謎は、わたしが幼稚園生のときの経験。
父親が学校の先生だったということもあって、幼稚園生のときから小学生の問題集を解かされていました。説明をうけるわけでもテキストがあるわけでもなく、自学で小学生の算数の問題集をやっていたのです。
そのときに、「えんぴつがバラで 〇 本、束で △束ありました。えんぴつは合わせて何本でしょう」みたいな問題があったのです。今推察するに、桁の話なんでしょうね。
でも、そのときのわたしは意味が分からず、「バラってお花でしょ。なんで鉛筆と関係があるの?」という質問を親にしたそうです。それを大きくなって何度も笑い話として聞かされて恥ずかしい思いをしていました。
だけど今なら自信をもって反論できる。
その年頃では桁の概念なんて、まだないんだよーーーーー!!!バラっていう言葉にひっかかって当然なんだよー。数とモノを対応させて足し引きができるだけでも立派なんだよーーーー!!!と。
父親は学校の先生だったけど、高校の先生だったゆえに、小さい子どもの数の概念がどのように発達していくかについては知らなかったんでしょうね。それはしかたがないことだと思います。
それでもそれをいまだに笑い話として言われるのは嫌だし、ましてやそれがお年頃的に無理なことで、新生児に歩きなさいというのと同じようなことかもしれないのに。無知のせいで傷つけられていたなんて、と考えると腹が立ってきた。
と、偉そうに言いましたが(笑)、
自分自身も子どもの認知発達を知らずに、そうやって笑ってしまったかもしれない、傷つけたかもしれないとも思ったのでした。こっちのほうがむしろ怖い。子どもに謝りたい。
今回解けた謎のもう一つはそういった話。
ムスメたちが小学校 1 年生のころ、算数で「太郎さんがアメを 3 個持っています。花子さんがアメを 5 個持っています。あわせてアメはいくつでしょう?」という文章問題をみて、「花子さんって誰?」というところで引っかかっていたのでした。
「いやそこ関係ないから。足し算やれよ」、と当時のわたしは思っていたのですが、この謎が今回解けたのでした。
小学 1 年生ににとって、具体物としての性質を捨てて考えるということは難しいのだそうです。
具体物としての性質、この場合「花子さん」にこだわってしまい、それをのりこえて数字に対応させることができない年頃だったのです。
「犬が 4 匹いました。あとから 3 匹きました。あわせて何匹になったでしょう?」という質問を小 1 の子にすると、「その犬はどんな犬?野良犬?」みたいなところにこだわって、数式をたてるところにまでたどり着かないのだそう。なるほど。
ということを知っていれば、そんなこともできないの?と悲観することもなく、この年頃だとあるよねーって見てあげれる。
というように、数さえも解るようになるまでに段階がいくつもある。ましてや量や空間、時間、確率なんてのは更に高度な話となるわけで。
そう考えると、子どもが日常生活で算数的知識を活用して生活していることにすら、スタンディングオベーション・拍手喝さいとなるのでありました(再)。
だから、子どもの認知発達を知ると楽しい。
そして、知らないがゆえに子どもを傷つけることもある。それは無知ゆえの罪。
しかし知らないのはしょうがない。だが罪は避けることはできる。
どんな些細なこと、たとえ言い間違いであっても、子どもの誤りを笑わないこと。笑い話にしないこと。自戒を込めて。
こんなに小さかったムスメたちも、今では 6 年生。
体はもちろん、ものごとのとらえ方も成長している。その成長は身体の成長のようにぱっと見てわかるものではないけれど、見てわからないからこそ観察し、発達する過程をあまさず見ていきたい。
--- 参考文献など ---
p 140「Ⅱ 認知発達の時期
70 道徳性:善悪を判断する」
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at 2018-05-25 16:37
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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vitablommor at 2018-05-25 18:08
私も『太郎さんが70円のりんごを5つ、50円のみかんを3つ買ったら10円足りませんでした。太郎さんはいくら持っていたでしょう?』って問題で、「あ~、太郎さんたら、どうして最初からお金を多めに持っていかないの?ていうか足りなくてどうしたの?」って、太郎さんのお買いもの事情が気になっちゃうタイプでした。
『10メートルのリボンを16人で平等に分けたいと思います。一人何メートルになるように切ればよいでしょう?』って問題の時は「二つ折りして切る×4すればいいのに」って思っていました。
年頃のせいもあるでしょうが、気質もあるような気がします。
『10メートルのリボンを16人で平等に分けたいと思います。一人何メートルになるように切ればよいでしょう?』って問題の時は「二つ折りして切る×4すればいいのに」って思っていました。
年頃のせいもあるでしょうが、気質もあるような気がします。
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e-sakamichi at 2018-05-25 21:13
鍵コメさん
コメントありがとうございます。
しかも、その方面で!!!ほんとに嬉しいです^^。
見分け方、うんうん、難しいですね~。わたしも本を何冊も読んでも、実物の石も見ても、それでもやっぱりわからなくて。
結局、専門家に尋ねました。その専門家が、なんとムスメたちの少年団バレーの監督で。ゆえにいつでも聞ける。いいでしょ(笑)
スズメバチの観察、はい!そちらもお好きですか?嬉しいなぁ~。
虫と違って、石は境界線があいまいなのが難しいと思いませんか?ねー。
これからもどうぞよろしくおねがいします♪
コメントありがとうございます。
しかも、その方面で!!!ほんとに嬉しいです^^。
見分け方、うんうん、難しいですね~。わたしも本を何冊も読んでも、実物の石も見ても、それでもやっぱりわからなくて。
結局、専門家に尋ねました。その専門家が、なんとムスメたちの少年団バレーの監督で。ゆえにいつでも聞ける。いいでしょ(笑)
スズメバチの観察、はい!そちらもお好きですか?嬉しいなぁ~。
虫と違って、石は境界線があいまいなのが難しいと思いませんか?ねー。
これからもどうぞよろしくおねがいします♪
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e-sakamichi at 2018-05-25 21:20
vitablommorさん
>「あ~、太郎さんたら、どうして最初からお金を多めに持っていかないの?ていうか足りなくてどうしたの?」
にゃはは。確かに!
今だからこそ、お母さん目線でそっちが気になります(笑)そしてムスメたちに「太郎さんのような金銭感覚の人とは結婚しないで」って義母目線まで。
>「二つ折りして切る×4すればいいのに」
確かに!
現実的すぎるな答えで怒られそうですが(笑、再)
>年頃のせいもあるでしょうが、気質もあるような気がします
ふむふむ。あるような気がします。ぐふふ。
>「あ~、太郎さんたら、どうして最初からお金を多めに持っていかないの?ていうか足りなくてどうしたの?」
にゃはは。確かに!
今だからこそ、お母さん目線でそっちが気になります(笑)そしてムスメたちに「太郎さんのような金銭感覚の人とは結婚しないで」って義母目線まで。
>「二つ折りして切る×4すればいいのに」
確かに!
現実的すぎるな答えで怒られそうですが(笑、再)
>年頃のせいもあるでしょうが、気質もあるような気がします
ふむふむ。あるような気がします。ぐふふ。
by e-sakamichi
| 2018-05-25 02:00
| 本 & ひとりごと
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