反応 - 7 / 認知はどこから
2018年 03月 13日
「反応 - 5 / 感情はどこから」にて、感情は認知から生じる、つまり出来事をどうとらえるか(認知)で感情は決まってしまう、という話をしました。
社会生活上好ましくなかったり、自分を苦しめるような感情を生じさせていたのは認知だったのでした。
よって、好ましくない感情を生じさせないようにするためには、認知(もののとらえ方)を変えなければなりません。では、その認知はなにに由来するのでしょう。
つまり、出来事に対するとらえ方や考え方はどうやって作られるのか、という問いです。
あいさつの例でいえば、あいさつが返ってこなかったという出来事に対して、無視しやがってという認知をする人もあれば、聞こえなかったのかな?今日は何か事情があるのかな?という認知をする人もいました。
その認知の背景には、その人の対人観が見え隠れするのでした。
無視しやがってという認知を生じる背景には、人に対して不信感をもっていますなぁ、あいさつを返さないのはわたしに敵意があるという考えかもしれませんなぁ。
つまり、認知の背景には、その人が何を大事にしているかという信念や信じ込みあるのでした。
その個人的な信念や信じ込みがもとになって認知(考え方やとらえ方)が決まってくる。
この信念や信じ込みのことをスキーマ(schema)といいます。中核信念[コア・ビリーフ]などとも呼ばれます(* 7-1)。
例えば、自分に対して否定的なスキーマを持っている人は、あいさつがかえってこなかったという出来事に対して、わたしはあいさつをかえされるような人間ではないから無視されたんだ、という認知をします(* 7-2)。人に対して肯定的なスキーマを持っている人は、なにか事情があったのかなと認知する。
というように、出来事をどうとらえるかという認知を作り出していたのは、スキーマ(信念・信じ込み)だったのでした。
認知が感情を生じ、その感情によってしんどい思いをするのであれば、認知の元となるスキーマ(信念・信じ込み)から変えていく必要がある、ということになります。
でもぅやっかいなことに、スキーマがあってそれが認知に影響を与えて感情をつくりだし表現に至る、という一連の流れは、自分では意識できてないことが多いんです。
表現の部分は練習によって意識することができるようになったとしても、スキーマ → 認知 → 感情の流れは、あまりにも一瞬で起こるために自分で把握するのが難しいのでした。自覚がないために、あたかも自動的におこってしまうかのような感じさえ受けます。
スキーマ→認知→感情の流れが自覚なく行われることを「自動思考」といいます。それは考えや感情となって表れます。
ゆえに、自動思考とは、瞬間的に浮かんでくる考えや感情のこと、といえます(* 7-3, 7-4, 7-5)。
スキーマ(信念・思い込み)→認知→感情の流れは、自覚することもなく瞬間的におこる自動思考であることがほとんどです。
よって、まずは「あー自動思考しているな」と気がつくだけでよいと思うのでした。
自動思考しているなと気がつくことによって、自動思考の連鎖にストップをかけることができるし、その自動思考を紐解いて見ることも可能になるのでした。
--- まとめ ---
スキーマ(信念・信じ込み)が認知を生じ、認知から感情が生じる
スキーマ - 認知 - 感情の流れは瞬間的に起こるために自覚しにくい。この瞬間的に起きる一連の流れを自動思考という。
自動思考を自覚することによって、自動思考の連鎖にストップをかけることや、客観的にみることが可能になる。
* 7-1
* 7-2
* 7-3
p 6 図Ⅰ-2認知理論(Beck, 1963)
*7-4
* 7-5
by e-sakamichi
| 2018-03-13 02:00
| 本 & ひとりごと
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