反応 - 6 / アサーション
2018年 03月 12日
--- 前回のはなし ---
感情は認知から生じる。しかし、感情と表現は一致しないことがある。
感情と表現の不一致は不満を生むゆえ、一致させることが望ましい。
負の感情を、相手に不快感を与えずに伝える方法とは……。
---
あいさつが返ってこなかったので(出来事)、無視されたととらえ(認知)、ムカッとしました(感情)。ここでむっとした顔をすると社会生活上好ましくありません。
それでも相手に伝えたいと思のであれば、言葉にします。「わたしは少しムカッときたの。」と。自分の感情を表現しつつも、相手を責めない言い方をすることによって、不満をためることなく次の行動にうつれます。
このように負の感情を表現するときに注意すべきは、3 点。
1. 主語を「わたし」にすること
2. 過去形にすること。
3. 「なぜではなくどのように」
1. 主語を「わたし」にすること。
先ほどの例で主語を「あなた」にすると、とたんに相手を責める内容になります。あなたのせいでこうなっているのよ!と。
人は攻められると自己防衛のために反撃してきます。そうなるとケンカまっしぐらです。よって主語は「わたし」。
2. 過去形にすること。
過去形にすることによって、もう済んだことという印象になります。もうすんだことゆえ変えようがない。だから「あぁ、そうだったんだね」で終われる。つまり、相手の非難や攻撃が生まれにくいのです。
そして自分に対しても「そうか、そうだったんだね」となぐさめの声かけになるのでした。
また、ムカっとした感情を表に出さないと決めた場合でも、「わたしはムカッときたのね」と主語をわたしにして過去形にして自分に言ってあげることによって、ムカっとした負の感情を消化することができるようになるのでした。感情はいったん消化されると落ち着く。よって、最初の感情と相手に見せる表現が違っていても、その不一致に対して不満に思うことが減るのでした。
3. なぜではなくどのように
子どもが明らかに宿題をしていないとします。このときについ「なんで宿題しないの?」と言ってしまうでしょう(お母さんあるある)。
しかし「なんで?」と問うておきながら、子どもが「遊びたかったから」なんて答えでもしたら怒り爆発。子どもにしてみたら、どう答えてもお母さんは納得してくれないとわかっている。だから黙ったら今度は「なんで黙ってんのよ!」って怒り出す。
あぁぁぁぁケンカまっしぐら。
このように「なぜ+過去形」は、相手を責める表現。ゆえにめんどうな結果につながりやすい。よって「なぜ」はNGワード。
ではどう言ったらよいでしょう。
それは「どのように」や「いつ」という言葉です(* 6-1)。
「あなたが宿題をしていないと、お母さんがあせります」と自分の気持ちを述べたうえで、どのようにしてほしいかを相手に伝え、いつやるのかを相手に問うということです。「宿題をやってないのなら今やりましょう。今やらないならいつやるか教えてください。」(* 6-2)
なぜではなくどのように、というのは、文句ではなくリクエストを伝えるということです。
このように主語をわたしにしてリクエストを伝えるという方法は、アサーション(assertion)というコミュニケーションの技術の一つです(* 6-3)。
アサーションは、他者を攻撃するのでもなく、自分を抑圧するのでもなく、他者も自分も過不足なく尊重しながら行う自己主張です。
他者だけでなく自分もというところがポイント。自分の感情を無視しないゆえに、我慢が生じない。
先ほどの宿題の例でいえば、よくある言い方が「宿題をやっていないと先生に怒られるよ」という言い方。いや、親であるお前が怒れよ、とわたしは思いますがね(笑)。
この「先生に怒られる」の言い方は、他人の権威を借りた言い方で、自分が入っていない。自分の感情に気がついていないか無視している。ゆえに、自分にストレスがたまる言い方です。
よって主語をわたしにしてリクエストを伝えるという表現がよいとおもうのでした。
このアサーションという表現方法は技術です。つまり、後天的に体得することができるということ。
ゆえに練習すればだれでもできるし、練習しないと身につきません。よって、相手に伝わる言い方というのも、練習が必要なことなのでした。
* 6-3
--- まとめ ---
自分の感情を否定せずに相手に伝える方法もある。
・主語はわたし
・過去形
・文句ではなくリクエスト
自分も相手も大切にする表現は技術である、ゆえに練習が必要。
--- ここまでのまとめ ---
出来事に対する反応とは、認知、感情、表現という三つの過程を含む。
しかし、感情は認知により生じるために、認知と感情はセットとして考える。
認知と表現のうちで、まず変えるべきは表現。なかでも非言語が重要。そして言葉にするなら、主語をわたしにしてリクエストを伝えること。
--- 参考文献など ---
* 6-1
* 6-2
* 6-3
Commented
by
たま
at 2018-03-16 08:01
x
こんにちは。ずっと以前から拝読しています。特に感情に押し流されそうになったときに、sakamichiさんの論理的な感情の分析を思い出して「窓を磨いて」みたりしています。
自分の怒りはどこから来て、どう処理するのがいいのか、オトナになった今でもうまくハンドリングできずに悩んでいます。どちらかというと、怒っても表面にだせずにガマンしてガマンしてガマンして自分の中でどうにもならなくなって噴火してしまうことが多いです。
ムッとするときのことを考えると結構心が傷ついている場面が多いです。そこで怒る(あるいは何か反応する)ことができればいいのに、ガマンした結果さらに土足で踏まれることになったり…ということになりがちでした。
そこでアサーションを学んで、「あなたのこういう行動の結果、わたしはこういう風に感じて悲しかった。だから今後はこういうふうにしてもらえないだろうか」的な伝え方を努力しています。以前よりは多少相手に伝わるようになったのですが、その分「それはあなたの想いであって、想いを押し付けられても困る」的なことを言われるようになりました。
お互いの関係への期待度の違いによるにかもしれませんが、なんだか全くわかりあえないような気持ちになってしまいました。これならカッと怒るほうが人間的でいいのかな、と思ったり…
人の心というのは難しいですね…。
自分の怒りはどこから来て、どう処理するのがいいのか、オトナになった今でもうまくハンドリングできずに悩んでいます。どちらかというと、怒っても表面にだせずにガマンしてガマンしてガマンして自分の中でどうにもならなくなって噴火してしまうことが多いです。
ムッとするときのことを考えると結構心が傷ついている場面が多いです。そこで怒る(あるいは何か反応する)ことができればいいのに、ガマンした結果さらに土足で踏まれることになったり…ということになりがちでした。
そこでアサーションを学んで、「あなたのこういう行動の結果、わたしはこういう風に感じて悲しかった。だから今後はこういうふうにしてもらえないだろうか」的な伝え方を努力しています。以前よりは多少相手に伝わるようになったのですが、その分「それはあなたの想いであって、想いを押し付けられても困る」的なことを言われるようになりました。
お互いの関係への期待度の違いによるにかもしれませんが、なんだか全くわかりあえないような気持ちになってしまいました。これならカッと怒るほうが人間的でいいのかな、と思ったり…
人の心というのは難しいですね…。
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by
e-sakamichi at 2018-03-16 15:12
たまさん
ご愛読いただきありがとうございます。窓磨き、まぁ、嬉しいです^^。
>自分の怒りはどこから来て、どう処理するのがいいのか、
うんうん、それなんですー。ハンドリング、うんうん、そうなんですー。
>ムッとするときのこと
うんうん。ふむふむ。
>アサーション、以前よりは、「それはあなたの想い」
うんうん。
>お互いの関係への期待度
期待度、うんうん。ナイスキーワード!
期待、それもわたしの課題の一つ。うなずきポイント満載です^^。
一歩進んで二歩下がる、でもまた進むの繰り返しで、玉ねぎの皮をむくように一つ一つ紐解いての繰り返しでした。というか、今もその道中なのでしたー、にゃは。
なのでこれが正解と言えるものに、まだたどり着いていません(笑)。しかし、道中にあるからこそ、その道中の見どころ&難所が書けるのかなとも思っているのでありましたー。うひゃひゃ。
これからもどうぞよろしくお願いいたします^^。
ご愛読いただきありがとうございます。窓磨き、まぁ、嬉しいです^^。
>自分の怒りはどこから来て、どう処理するのがいいのか、
うんうん、それなんですー。ハンドリング、うんうん、そうなんですー。
>ムッとするときのこと
うんうん。ふむふむ。
>アサーション、以前よりは、「それはあなたの想い」
うんうん。
>お互いの関係への期待度
期待度、うんうん。ナイスキーワード!
期待、それもわたしの課題の一つ。うなずきポイント満載です^^。
一歩進んで二歩下がる、でもまた進むの繰り返しで、玉ねぎの皮をむくように一つ一つ紐解いての繰り返しでした。というか、今もその道中なのでしたー、にゃは。
なのでこれが正解と言えるものに、まだたどり着いていません(笑)。しかし、道中にあるからこそ、その道中の見どころ&難所が書けるのかなとも思っているのでありましたー。うひゃひゃ。
これからもどうぞよろしくお願いいたします^^。
by e-sakamichi
| 2018-03-12 02:00
| 本 & ひとりごと
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Comments(2)