反応 - 4 / 非言語表現

--- 前回の話 ---

コミュニケーションとは反応の積み重ね。

反応には認知と表現という二つの過程が含まれているが、コミュニケーションの質を向上するには、表現を先に変えたほうがラクで早い。

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話している内容が相手に与える影響は、たったの 7 %でしかない。言葉以外のことが重要である。

では、非言語の表現には何があるのでしょう。

まずは顔の表情、声。

例えば「バカだな」という言葉を言うとします。俳優になったつもりで考えてみましょう^^。

相手をバカにして言うならばアゴをあげてつぶやくようにでしょうか。これが同じセリフでも、愛おしい目で甘い声で言うとどうでしょう。もうバカだなぁ(ハート)みたいな感じでキャーキャーしちゃうシーンになるでしょ(笑)。

「バカだな」という同じ言葉でも、顔の表情や声のトーンでまったく違う印象を相手に与えるのでした。それゆえに非言語表現が大事。

では、その非言語表現の練習をどのようにしたらよいのでしょう?方法は 3 つ。

一つ目は、ドラマ療法。

「精神分析の世界で、ドラマ療法というのがある。役を演じることで少しずつ心を開放していく療法である。自分以外の人間になることで、自分という呪縛から解放される。」(* 4-1)

役を演じることで、自分のあやまった表現パターンを見直し新しいパターンを獲得する、というものです。

小 5 双子のムスメたちとわたしがこの年になってごっこ遊びをやりはじめたのは、実はこのドラマ療法なのでした。

同じ言葉で、顔の表情と声のトーンを変えてみて、それがどういう印象を相手に与えるかというのをおふざけを通じて体験していたのでした。

なぜわざわざ遊びの中でやるのか。実生活の中でその都度指導すればいいじゃないかと思われるでしょう。

しかし、実生活で話している最中に「そんな声のトーンはダメ」と注意ばかりしていたら、相手は話してくれなくなります。他の人と話す自信もなくしてしまいます。

よって、実生活での指導はなるべく避けたい(自省)。ゆえに、わざわざ遊びの中でやるのでした。

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相手が受け入れやすい非言語の表現の仕方を考えるにあたって、おすすめするのは本……ではありません。

本は言葉として書かれているため、非言語の部分、とくに間や表情といった表現が欠けてしまう。書いてあっても、それを読み手がイメージとして起こす際に、自分の経験の範疇を超えることができない。だから、非言語表現の練習においては、本は参考になりません。

では、何を参考にしたらいいか?

はい、それは……ドラマです(笑)。

ドラマで見ると、受け答えの微妙な間であったり表情であったり、手や体の動き、距離感だったり……、非言語の表現をそのまんまで見て学ぶことができます。

気に入ったドラマがあったら繰り返し見て真似してみましょう(まずは脳内で)。

ちなみに私が子どもたちを見つめるときの「愛おしくてたまらない」という表情は、恋愛ドラマからの流用です。

気に入ったドラマを繰り返しみることで、非言語表現の幅を広げ、深めることができます。これが非言語表現の練習方法の二つ目。

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そして、非言語表現の幅を広げるための三つ目の方法は、「5人の小人」。

「5人の小人」とはエゴグラムという心理学理論に基づいて作られた性格診断テストに出てくる用語です。人の心は大きく 5 つの性質にわかれており、それを「5 人 の小人」 と表現しています。

5 人の小人はそれぞれ以下のような性質を持ちます。

① 厳しい親
② 優しい親
③ 大人
④ 無邪気な子供
⑤ 従順な子供

子どもに指示をするにしても、厳しい親のわたしで言うのか、優しい親のわたしで言うのか、それとも大人のわたしで言うか……それは選べるのです。

5 人の小人によって、表現案をいくつも考えてみる。そのうちどれが、自分にも相手にも最適な解で最適な快か。やりながら試していくというやり方です。

(5人の小人についての詳細は別記事参照ください。* 4-2)。

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ドラマ療法、ドラマを見ること、5人の小人によって、非言語表現の練習をしました。

その過程で気がついたことは、今まで受け入れてもらえなかったものは、私の感情そのものではなく、選んだ表現のほうであったということ。

表現は選ぶことができる。答えは一つじゃない。

表現は選べるのであれば、私にとっても相手にとっても、受け入れやすい表現を選ぶというのでどうでしょう?

そのためには表現の練習が必要で、とくに非言語表現の練習が必要だと思うのでした。

(非言語表現についての詳細は別記事有り。* 4-3 を参照ください)。


--- まとめ ---

非言語表現の練習には、
・ドラマ療法
・ドラマをみること
・5人の小人

表現は選ぶことができる。答えは一つじゃない。

選べるのであれば、私にとっても相手にとっても、受け入れやすい表現を選ぶ。


--- 参考文献など ---

* 4-1

人は見た目が9割 (新潮新書)

竹内 一郎/新潮社

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*4-2
「私の中の 5 人の 小人」

1. 序論
・エゴグラム →

2. 私の中の 5 人の 小人
① 厳しい親 →
② やさしい親 →
③ 大人 →
④ 無邪気な子供 →
⑤ 従順な子供 →

3. 感情と行動はわけてもいい
・仏性 →
・自分の感情は全て味わう →
・選べるということ →

4. 現実対応
・現実対応
・変えられることと変えられないこと →

5. 子どもの成長と小人
・反抗期とは →
・自信 →

6(最終章). クセ、そして形
・クセに気がつくということ →
・形から入る →


* 4-3
「非言語コミュニケーション」

序論
・どんなに言葉を尽くしても →

1. 現実のコミュニケーションでは
・優しさの定義、ふたたび →
・言葉の寄与率 →

2. 非言語コミュニケーションの例
・表情 →
・顔つき →
・聴く姿勢 →
・「はい」の一言に →

3. 感情はそのままで、形から入ってもいい
・わたしの中の 5 人の小人→
・真似る →
・三つ目の方法 →

4. ドラマは形の宝庫
・三つ目の方法 →
・可変性とメタ認知 →

5. まとめ →



by e-sakamichi | 2018-03-10 02:00 | 本 & ひとりごと | Comments(0)

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