反応 - 2 / 認知と表現
2018年 03月 08日
--- 前回の話 ---
同じ出来事があっても、反応は人それぞれである。答えは一つではない。
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では、その反応の違いはどこからくるのでしょう……。先ほどの事例をもとに説明していきましょう。
あいさつをしたのに返ってこなかったという出来事があり、それに対する反応は人それぞれでした。
反応と一言でいいましたが厳密にいうと、表に現れる言動が違う。この表に現れる言動のことを、ここでは「表現」と定義します。
表現が同じだからといって、一つの出来事に対する反応は同じと解釈してはいけません。実はそこに至る過程が異なることがあるのです。
あいさつをしたのに返ってこなかったから、もう一度あいさつをするという表現をしました。
しかし内心で「聞こえなかったのかな?」と思うのと、「てめぇ無視しやがって」と思っているのでは、同じもう一度言うのも違ってくる。
どう違ってくるか
女優になったつもりで考えてみましょう(笑)
「聞こえなかったのかな?」ととらえた場合、一度目と同じトーンだけど相手の近くまで行って声をかけたり、名前を呼んだり、大きな声で言ったり、そんな演技をしますよね。
「てめぇ無視しやがって」ととらえた場合、声のトーンが下がって表情が硬くなったり、ケンカ口調になりますわなぁ。
同じ表現でも、そこに至る過程は一つではない。
表現の一つ前にあるのはなんだったでしょう。それは、聞こえなかったととらえるのか無視ととらえるのかでした。
つまり、出来事に対するものの考え方やとらえ方だったのでした。これを心理学用語で「認知」といいます(* 2-1)。
あいさつが返ってこなかったという同じ出来事があって、もう一度言うという同じ表現をしても、認知が違うことがあるのでした。
このことからわかるのは、同じ出来事があったとしても反応はそれぞれであるが、その反応には認知と表現という二つの過程が含まれているということ。
出来事に対する反応には、認知と表現という二つの過程が含まれている。
さきほどのあいさつの事例で見ると、まず認知の段階で「聞こえてない」ととらえるか、「今日はなにか事情があるんだろうな」ととらえるか、「無視しやがって」ととらえるかで分かれます。
「聞こえてない」と認知したとしても今度はどの表現を選ぶかでまた分かれます。もう一度いうのか、まぁいいやと言わないでおくのか、なんで聞こえないのと問い詰めるのか…。
出来事に対する反応とは、認知と表現の組み合わせである。
よって、一つの出来事に対して反応は一つであるという考えは成り立たない、ということがわかります。
出来事に対する反応とは、
認知と表現の組み合わせである。
ゆえに、出来事に対する反応を考察するにあたっては、この二つを別々に考えなければなりません。
人とのコミュニケーションがうまくいってないと思うのであれば、それは認知の問題か表現の問題かを分けて考えましょう、ということになります。
お話は続きます……。
--- まとめ ---
出来事に対する反応には、
認知と表現という二つの過程が含まれる。
認知とは、ものの考え方やとらえ方のこと。
表現とは、表に現れる言動のこと。
出来事に対する反応は、認知と表現の組み合わせ。
よって反応を考察するにあたっては、認知の問題か表現の問題かを区別する必要がある。
--- 参考文献など ---
*2-1
by e-sakamichi
| 2018-03-08 02:00
| 本 & ひとりごと
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