敬語ネタ - 2 / そもそも敬語って
2017年 10月 08日
ということで、ムスメ 1(小 5)の敬語の学習が始まったのですが、そもそも敬語ってなんでしょうね。
そして、敬語の学習は、子どもがつまづきやすいポイント。なのに試験でよく出る。そして、社会生活を送るうえでの必要事項。
ゆえに、ここでしっかりと教えることにしました。
彼女は図で説明した方が腑に落ちる人ゆえ、図解で。
以下、ムスメ(小 5 )に話した内容。
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敬語には、3 つの種類がある。
① 尊敬語
② 謙譲語
③ 丁寧語
敬語をつかうときの、自分と相手との関係を見ていこう。
まず、敬語を使わない、つまり普通の状態のときは、自分と相手は対等な関係(図 2-1)。同じ高さにある。
① 尊敬語
自分の立ち位置は変わらずに相手を上げる場合は、尊敬語を使う。
尊敬語は「敬う(うやまう)」という字が入っているから、相手を敬っていますよという意味が込められる。
例) 話す→おっしゃる
食べる→召し上がる
相手を上げる言葉ゆえに、尊敬語を使うのは相手の動作に対して。自分の動作には使いませんよ。
以上がムスメに話した内容。
以下、敬語についての私考。
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ところで、敬語のなかの尊敬語と謙譲語。欧米ではそういうカテゴリーに属する言葉は、ほとんどありません(丁寧な言い方というものはあるけれども)。
尊敬語は「敬う(うやまう)」という字が入っているから、相手を敬っていますよという意味が込められる。
例) 話す→おっしゃる
食べる→召し上がる
相手を上げる言葉ゆえに、尊敬語を使うのは相手の動作に対して。自分の動作には使いませんよ。
② 謙譲語
謙譲の「謙」と「譲」、どちらにも「ゆずる」という意味がありますよ。
だから、謙譲語は自分の立ち位置をゆずる、つまり自分を下げる言葉。
自分を下げることによって、結果的に相手が上になりますよ。
例) 話す→申し上げる
食べる→いただく、ちょうだいする
自分が下がるので、謙譲語は自分の動作に対して使いますよ。相手の動作には使いませんよ。
例) 話す→申し上げる
食べる→いただく、ちょうだいする
自分が下がるので、謙譲語は自分の動作に対して使いますよ。相手の動作には使いませんよ。
③ 丁寧語
自分と相手の高さは変わらないけど、距離が広がった言葉。
公式の場で使います。
また、高等テクニックとして、人と距離をおきたい場合につかうこともあります(処世術的教え)。
以上がムスメに話した内容。
以下、敬語についての私考。
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ところで、敬語のなかの尊敬語と謙譲語。欧米ではそういうカテゴリーに属する言葉は、ほとんどありません(丁寧な言い方というものはあるけれども)。
尊敬語と謙譲語があるのは、中国・韓国・日本です。
そう、儒教の影響が残る文化圏です。
そのことに気がついたのは、韓国ドラマを見ていたとき(笑)。
韓国は日本以上に、年と身分の上下に厳しいお国柄。
ゆえに、相手が一つでも年上ならば敬語を使う。年を確認するために、相手の身分証明書を確認するというシーンも頻出する。
また、相手との距離を置きたいときは、すぐに丁寧語に変わる。上下関係が判明したときも言葉が変わる。人との上下関係と距離感によって言葉を変えることは、韓国ドラマを見ているとよくわかります(笑)。
そういう距離感がかわったときの台詞が英語字幕になるときは、訳のあとにカッコつきで「fomaly tone(形式的な口調)」という補足する言葉が入っていました。
それを見て、英語では敬語がないことに気がついたのでした。
しかし、英語に敬語がまったくないというわけではありません。
日本語の場合、「話す」だったら尊敬語は「おっしゃる」というように言葉そのものを置き換えてしまいますが、英語の場合では 口調が異なる。つまり、”丁寧な口調”が存在する。
そして、それは相手によってかえるものではなくて、
「品の良い人は品のよい言葉を話すように、その人の人格からにじみでるもの」とのこと(* 1)。
だから、日本や韓国のように、相手との上下の関係をはかってそれに応じて言葉を変えるという考え方とは性質が異なるようです。
裏を返すと、日本や韓国では、人と話すにあたって常に相手との上下関係を推し量る必要がある、ということです。そして、相手との距離よりも上下に主を置いているような気がします。
……と書くと、メンドクセーと感じますが(笑)、文化なのでしょうがない。
「敬語は尊敬しているから使うのではない。ことばのたしなみである。
多くの人と共生するようになると体裁が問題となる。それによって作法が発達する。敬語はことばの作法のひとつである。
それを心得ていれば、摩擦、争いを回避、軽減することができる。」(* 2)
酒井順子さんの言葉をかりると、とりあえず形だけでも上下を決めておくと後がスムーズ、これは一種のプレイである、ということでしょうか。(* 3)
相手との上下関係や距離によって言葉を変えるのが敬語。
学校では上の人への言葉ばかり習いますが、実生活では下の人への言葉というものもあふれています。
実際には人に上下などないものですが、相手を見下ろして使う言葉がある、ということも事実です。
相手との上下関係によって言葉がかわるのであれば、敬語なんていう上だけへの言葉だけでなく、下への言葉も含めた意味で「上下語」と呼んでしまえ
……と提案したところ、ムスコに即却下されました。たはは。
ちなみに、「ください」は一見丁寧語のようで、実際には見下ろした言葉なんだそうですよ。
「もともとは主人や主婦が、お手伝いにものごとを命じるときに使ったのが、くださいである。
”しなさい”よりはていねいだが、見おろしたことばづかいである。」(* 4)
知らずに使っていたけど実は見下し語だった、ということがある。ゆえに、そういう言葉は好ましくないですよ、という意味で知っておくことが必要…と思うのでした。
知らずに使っていたけど実は見下し語だった、ということがある。ゆえに、そういう言葉は好ましくないですよ、という意味で知っておくことが必要…と思うのでした。
敬語ネタ、もう一つ続きます。
--- 参考文献など ---
* 1
http://www.y-hareyama.sakura.ne.jp/03/04_1/post_257.html
* 2、* 4
* 2 p75 「敬語のたしなみを知るのが大人である」
* 4 p 84「”ください”は命令形」
* 3
by e-sakamichi
| 2017-10-08 02:00
| 本 & ひとりごと
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