漱石ネタ - 1 / 『草枕』- 1

お勉強のテーマの一つ、夏目漱石。

二冊目は『草枕』。
これもさしたる理由もなく、ただ図書館にあったから手に取った次第。

「智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい 」

という書き出しで有名。

『こゝろ』と違って、文体が難解。
まるで漢文の書き下し。

それもそのはず、
漱石さん、漢文もお得意なんですって。

文体は難解であるものの、
言葉選び、繰り返しや響きの美しさがある文章ではありました。

が、一読しただけでは理解できず、
書き写して、声に出してようやくその文章の良さがわかる。
(わたしがそのレベルというだけですが)

また、表現が細かい。
羊羹の描写の件は、
見たそのものをありのままに表現することの、お手本のような文章。

ただ、この本を読んでの率直な感想は、
「ストーリーの展開が遅い!!!」

細かい描写は美しいものの、
物語が遅々として進まないのです。

という理由で結局、完読ならず。
半ばで断念。

つづく……。

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『草枕』における羊羹の描写とは、

「余は全ての菓子のうちでもっとも羊羹が好きだ。

別段食いたくはないが、
あの肌合が滑らかに、緻密に、
しかも半透明に光線を受ける具合は、
どう見ても一個の美術品だ。

ことに青味を帯びた煉り上げ方は、
玉と蝋石の雑種のようで、
はなはだ見て心持ちがいい。

のみならず青磁の皿に盛られた青い煉羊羹は、
青磁のなかから今うまれたようにつやつやして、
思わず手を出して撫でて見たくなる。」

羊羹一つとっても、この表現。
細かいらー。
しかし、羊羹が青いとは、思ってもみなかった。

そして、今度羊羹があったら、
ぜひ青磁の皿に盛ってみようと思ふ。
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青磁の菓子鉢。径 20 cm 、高 9.5 cm 。

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氷裂紋(ひょうれつもん)。
氷の表面が裂けたような 貫入のこと。

by e-sakamichi | 2016-10-18 06:00 | 本 & ひとりごと | Comments(0)

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