漱石ネタ - 1 / 『草枕』- 1
2016年 10月 18日
お勉強のテーマの一つ、夏目漱石。
二冊目は『草枕』。
これもさしたる理由もなく、ただ図書館にあったから手に取った次第。
「智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい 」
という書き出しで有名。
『こゝろ』と違って、文体が難解。
まるで漢文の書き下し。
それもそのはず、
漱石さん、漢文もお得意なんですって。
文体は難解であるものの、
言葉選び、繰り返しや響きの美しさがある文章ではありました。
が、一読しただけでは理解できず、
書き写して、声に出してようやくその文章の良さがわかる。
(わたしがそのレベルというだけですが)
また、表現が細かい。
羊羹の描写の件は、
見たそのものをありのままに表現することの、お手本のような文章。
ただ、この本を読んでの率直な感想は、
「ストーリーの展開が遅い!!!」
細かい描写は美しいものの、
物語が遅々として進まないのです。
という理由で結局、完読ならず。
半ばで断念。
つづく……。
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『草枕』における羊羹の描写とは、
「余は全ての菓子のうちでもっとも羊羹が好きだ。
別段食いたくはないが、
あの肌合が滑らかに、緻密に、
しかも半透明に光線を受ける具合は、
どう見ても一個の美術品だ。
ことに青味を帯びた煉り上げ方は、
玉と蝋石の雑種のようで、
はなはだ見て心持ちがいい。
のみならず青磁の皿に盛られた青い煉羊羹は、
青磁のなかから今うまれたようにつやつやして、
思わず手を出して撫でて見たくなる。」
羊羹一つとっても、この表現。
細かいらー。
しかし、羊羹が青いとは、思ってもみなかった。
そして、今度羊羹があったら、
ぜひ青磁の皿に盛ってみようと思ふ。
青磁の菓子鉢。径 20 cm 、高 9.5 cm 。
by e-sakamichi
| 2016-10-18 06:00
| 本 & ひとりごと
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