困った言動を 紐解く- 7 / 子ども本人の資質 -1

--- 前回までのお話 ---
子どもの”一見”困った言動を、子どもの資質のせいだけにしてはいけないと思うとでしゅ。
→ 困った言動を 紐解く- 1 / 序論

子どもの困った言動の由来を紐解くと、
大きく 5 つに 分けられる、と私は考えたとでしゅ。

1. 人間として共通なこと
2. 年齢的なこと
3. 性別的なこと
4. 受けとる側のとらわれ
5. 子ども本人の資質

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子どもの”一見”困った言動の由来で、
子ども本人の資質というのもあります。

これも、細かく見ていくと、
先天的な資質と、後天的な資質に分けられます。

「先天的」というのは、生まれつき決まっている資質のこと。
遺伝的な傾向が強いので、
変えようとしても、変えられないところ。

よって、責めても害あるのみ。
「それでもできるやり方をしよう」と、諦めが必要なところ。

10代の子をもつ親が知っておきたいこと

水島広子/紀伊國屋書店

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「02. 人間の性格の成り立ち

期待と不安と挫折が入り混じるこの時期(補足:10代)には、
『変えられるものは変える』
『変えられないものは折り合い方を考える』
という基本姿勢を学ぶことも重要な課題。

そのためには、まず周りの大人たちが、
何が変えられるもので
何が変えられないものか
理解している必要があります。

そうしなければ、
子どもは変えられないものを変えようとして、
挫折し自尊心を低下させたり、

変えられないものを変えるようにとプレッシャーをかけられて、
周囲との関係に不満をため込んだりしかねないからです。」

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では、先天的な資質とは?

クロニンジャーの「七因子モデル」によると、
生まれつき決まっているのは 4 つの 因子。

1) 新奇性追求
2) 損害回避
3) 報酬依存
4) 固執

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1) 新奇性追求

新しいものに関心が高いか低いか、ということ。
車でいうと、アクセルに相当する部分。

新奇性追求の高い人は、好奇心が強くて積極的に行動する。
反面、我慢が苦手だったり、思いつきだけで行動したり。
新奇性追求の低い人は、思慮深く計画的な反面
考え方や行動を硬直化させがち。

2) 損害回避

損害を避けようとする性質のこと。
要は 心配性かどうか、ということ。
新奇性追求がアクセルなら、この損害回避はブレーキに相当。

3) 報酬依存

人からほめられたり認められたりしたい性質のこと。
報酬依存が高いと、人から認められたい傾向が強い。
低いと、人のことは気にしない。

4) 固執

あることを辛抱強く続ける性質のこと。
固執が高いと、それこそ固執してしまうし、
低いと、継続性がなくなる。

という、この 4 つに関しては、遺伝的傾向が強く、
変えようとすると ちょっとしんどいところのようです。

ゆえに、「それでもできるやり方をしよう」と
思うほうが楽なところだと思うとでしゅ。

例えばね、うちのムスコ氏の場合。
1) 新奇性追求…高い
2) 損害回避…まぁまぁ
3) 報酬依存…中
4) 固執…まぁまぁ
って感じでしょうか。

好奇心が強いので新しい知見には積極的で、
あまり心配性でもないので ガンガン行動する。
だけど、心配しすぎない点もあるので、親は心配する(笑)。
人から認められることは嬉しいけど、それにこだわりすぎることもないので、
自分がやりたければやる。
ねばり強さは…う~ん。まぁまぁかな。

そんな彼の、学習曲線はこんな感じ。

初スケート and 学習曲線 それぞれの
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好奇心があるから、停滞期が短くのびしろが大きい。
ねばり強さもある程度はあるから、
伸びた後の定常期も長い。
しかも、人から褒められることを必要としない。

ゆえに、彼に必要な親の対処としては、
好奇心を幅広く持たせてあげることかな。
「損害回避」の部分が少ないのは、
まぁ、どうしましょ。どうしようもないのかな(笑)

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一方、ムスメ 1 の場合、
新奇性追求が高いから、何でもチャレンジしてみる。
だけど、すぐにはできない。
だけど、諦めないねばり強さも持っている(固執が高い)。
ゆえに、出だしの停滞期が長くても、いつかはやれる人。

そして、親の励ましがあると 頑張れるけど、
批判があると すぐにへこむ人(報酬依存が高い)。

ゆえに彼女に必要なのは
「すぐにはできないけど、できないことはない」
という親の理解。
この理解がないと、自信をなくしてしまう可能性がある。
ゆえに、信じて認めて待ってあげる必要がある子。

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という感じで、子どもそれぞれに違うと
思ったのです。

(ちなみに、双子のもう一人は、
新奇探求性が低く、損害回避が高いため、
新しいことにチャレンジしない = めんどくさがり。
めんどくさがりゆえの省エネタイプで、
要点をつかむのに長けている。
協調性はあるものの報酬依存は低いため、
わがままでもないし、一人でいることも平気。
頑固な一面もあるから、固執は高い。
ゆえに、のめりこめる資質も持っている…はず。
ムスメ 2 よ、熱くなるものを探せ。)

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変えられないことを責めるのではなく、
無理に変えようとするのでもなく、
それでもできるやり方を考える方が、
楽だし建設的だと、わたしも思うとです。

例えば、心配性な子(損害回避が高い子)に
心配しすぎよ、というアドバイスは無意味で、
「何が心配なのか書き出してみようか」と
一緒に対処を考える方が 建設的だろうし、

粘り強さのない子(固執の低い子)に、
どうしてあんたは飽きっぽいのって怒るよりも、
その子の飽きっぽさを利用して、
目標を細かく区切るほうが得策だったり…とかね。

つまり、「対処を変えるだけ」だと
わたしは思ったのでしゅ。

対処を変えるには、諦めも必要ということ。
諦めとは、変えられないことと 変えられることを、
明らかにするということ。

変えられないこととには、
人間として共通なこと、
性別的・年齢的なこと、
そして、この 4 つの 先天的な資質も含まれる。




by e-sakamichi | 2016-01-20 06:00 | 本 & ひとりごと | Comments(0)

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