読書感想文についての私考 - 3
2017年 08月 15日
読書感想文に求められること、
それは、「その本を読むことによって、あなたの何かが変わりましたか?」ということ。
その「変わった」こととは、過去の自分の体験に対する意味づけが変わった、ものの見方が変わった、ということなのです。
でもね、普通につらーっと読んでるだけでは、そこまで深読みできません。ましてや経験の浅い小学生なら。
ゆえに、ここで必殺技。
物語の本を読む前後に、全く違うジャンルの本を読むのです。
例えば、去年わたしが読書感想文に選んだのは、夏目漱石の『こころ』でした。
『こころ』の前に読んでいたのは、ミニマリストの本。
そこから得たのは、情報さえも捨ててしまえ、という視点でした。
よって、新聞で乃木将軍の死を知ることにより自殺を決意した先生のくだりを、情報過多による弊害として書くことができました。
次は『こころ』の後に読んだ、アドラーの本から。
アドラーの本からは、人は人の役に立つことで自己肯定感を得られる、という、着眼点を。
よって、『こころ』の作品中のほんの数行しかない文章に着目して、そこから膨らませることができました。
もちろん、この二つの着眼点が、他の本からきてるなんてことは、読書感想文には書きません。
ゆえに、読書感想文を読む人にしてみたら、
本を読むことによって、わたしの考えが「変わった」というように見えるでしょう。
ずるい手でしょう(笑)。
だけどね、何にもないところから書くことって、ほんとに難しいのです。ましてや子どもにとっては。
だからね、本を読むにあたり、あらかじめ視点を定めておくのです。
そういう視点を定める、という意味で、他の本の力を借りるのです。
よって、前後に読む本は、物語ではなくて、知識本になります。
全く関係のないジャンルの本であればあるほど、個性的な視点を得ることができます。
オーソドックスにいくなら、人間関係の本だとか、心理学の本がよいかもしれません。
今回、ムスメが初めての読書感想文を書くにあたって、選んだ知識本は、友達関係の本でした。(選んだのは母ですが)
しかも、後から読みました。
後から読むだけでもいいのですが、できれば先に読むほうが良いかもしれません。一冊だけでもかまいません。
話は戻って、ムスメが友達関係の本から得た視点でもって、物語を読み解いていくと、一人では発想できないような思考にたどり着くことができたのでした。
しかも、物語を読んでそこから気づきを得て(得たように見せれて)、そこから自分の考え方が変わった(ように見せる)ことができたのでした。
ゆえに、読書感想文に求められる「その本を読むことによって、あなたの何かが変わりましたか?」という条件を十分に満たした読書感想文にすることができたのでした。
しめしめ。
今回は初めてということもあり、知識本の選定や、どことつなげたらよいかなどの指導はしましたが、
本人も書くことによって発見したことがあったようで、書き終わってスッキリしたと申しておりました。
しめしめ(再び)。
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ということで、子どもの読書感想文についてのまとめ。
読書感想文に求められること、
それは、「その本を読むことによって、あなたの何かが変わりましたか?」ということ。
ゆえに
① 作者紹介とあらすじに、労力はかけない。
② 知識本とセットで読むことで、あらかじめ視点を定める
③「変わった」ことを書く
というのが、読書感想文のテクニックなのではないかと、わたしは考えたのでした。
ちゃんちゃん。
by e-sakamichi
| 2017-08-15 12:00
| 本 & ひとりごと
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