安倍川 - 3 / 雨畑硯について
2015年 06月 04日
「安倍川 - 2 / 大谷崩 - 2 2015.05.10」、
大谷崩の粘板岩のところで、
「これは『粘板岩(スレート)』と
呼ばれる岩石です。
この付近に広く分布していて、
山を越えた雨畑の集落では、
この岩石を使った硯が
特産品になっています」(* 3)
と、説明しました。
これについて 補足。
山の向こう側、つまり
山梨県 雨畑についての記載です。
大谷崩と同じ 瀬戸川層群なので
参考になります。
「瀬戸川層群の特別なところが、
『雨畑石』と呼ばれ、
雨畑硯の原石になる」(* 10)
つまり、硯の原料になるのは
特別なところだけ、とのこと。
「よく、雨畑硯は粘板岩を原石として
作られるといわれたが(中略)
これは頁岩」(* 10)
雨畑硯の原料は、頁岩だとさ。
泥岩も使われているそうな。
ただ、
「(雨畑川の)道路の切り割面を見ていくと、
黒くて、紙や板をたくさん重ねて立てたような
スレート(粘板岩)とか千枚岩といった岩が
露出しているのがわかるであろう」(* 10)
とあるので、瀬戸川層群に
粘板岩があるのは
間違いないと思います。
硯の材料が 粘板岩でないだけで。
でもさぁ、はがれやすい頁岩で
どうやって硯を作れるのさ…
というシロウト疑問(笑)にも
この本は きっちり答えてくれました。
「適度な温度と圧力と
地質学的な長い時間によって、
泥岩または頁岩の中に
適当な量の白雲母が再結晶したため
(硯の材料として良質なのである)。」(* 10)
「白雲母は頁岩の中で
いろいろな方向を向いて含まれ、
硯の原料として、
原石が薄く剥げてしまうことを抑える
役割をしている。
しかし、
変成作用によって温度や圧力を
あまりにも受けた箇所は、
ほぼ同じ向きに配列した
白雲母やほかの鉱物が、
多量に再結晶してしまい、
むしろ薄く剥げやすいスレート(粘板岩)や
千枚岩などになってしまうので、
とても硯の原料にはならないのである。」(* 10)
硯の原料となるには、
いろんな条件が一致しないと
ならないんだねぇ。
ふむふむ。
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お煎茶でね、
文房飾りというのがありましてね。
文房具を飾り鑑賞するのですよ。
その中に 硯もあるのです。
硯を岩石として見てみると、
楽しいんじゃない。
うん、楽しいよ(私だけ?)
今度じっくり見てみよう。
以上、雨畑硯についての補足
おしまい。
--- 参考文献 ---
* 10
* 3