安倍川 - 3 / 雨畑硯について

安倍川 - 2 / 大谷崩 - 2 2015.05.10」、
大谷崩の粘板岩のところで、

「これは『粘板岩(スレート)』と
呼ばれる岩石です。
この付近に広く分布していて、
山を越えた雨畑の集落では、
この岩石を使った硯が
特産品になっています」(* 3)

と、説明しました。
これについて 補足。

山の向こう側、つまり
山梨県 雨畑についての記載です。
大谷崩と同じ 瀬戸川層群なので
参考になります。

「瀬戸川層群の特別なところが、
『雨畑石』と呼ばれ、
雨畑硯の原石になる」(* 10)

つまり、硯の原料になるのは
特別なところだけ、とのこと。

「よく、雨畑硯は粘板岩を原石として
作られるといわれたが(中略)
これは頁岩」(* 10)

雨畑硯の原料は、頁岩だとさ。
泥岩も使われているそうな。

ただ、
「(雨畑川の)道路の切り割面を見ていくと、
黒くて、紙や板をたくさん重ねて立てたような
スレート(粘板岩)とか千枚岩といった岩が
露出しているのがわかるであろう」(* 10)

とあるので、瀬戸川層群に
粘板岩があるのは
間違いないと思います。

硯の材料が 粘板岩でないだけで。

でもさぁ、はがれやすい頁岩で
どうやって硯を作れるのさ…

というシロウト疑問(笑)にも
この本は きっちり答えてくれました。

「適度な温度と圧力と
地質学的な長い時間によって、
泥岩または頁岩の中に
適当な量の白雲母が再結晶したため
(硯の材料として良質なのである)。」(* 10)

「白雲母は頁岩の中で
いろいろな方向を向いて含まれ、
硯の原料として、
原石が薄く剥げてしまうことを抑える
役割をしている。

しかし、
変成作用によって温度や圧力を
あまりにも受けた箇所は、
ほぼ同じ向きに配列した
白雲母やほかの鉱物が、
多量に再結晶してしまい、
むしろ薄く剥げやすいスレート(粘板岩)や
千枚岩などになってしまうので、
とても硯の原料にはならないのである。」(* 10)

硯の原料となるには、
いろんな条件が一致しないと
ならないんだねぇ。
ふむふむ。

---
お煎茶でね、
文房飾りというのがありましてね。
文房具を飾り鑑賞するのですよ。
その中に 硯もあるのです。

硯を岩石として見てみると、
楽しいんじゃない。
うん、楽しいよ(私だけ?)

今度じっくり見てみよう。

以上、雨畑硯についての補足
おしまい。

--- 参考文献 ---

* 10

山梨の奇岩と奇石 (山日ライブラリー)

石田 高,石田 啓/山梨日日新聞社

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* 3

地形観察ウォーキングガイド―地形を楽しむコースマップ付き

目代 邦康/誠文堂新光社

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by e-sakamichi | 2015-06-04 20:06 | 生き物 | Comments(0)

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